新しいスマート・エネルギー・インフラの導入を可能にする電力線通信用チップセット

2017-12-19

プログラム可能なモジュール型ソリューションが、新しいスマート・メータ、スマートグリッド、スマート街路灯、家庭用機器および住宅・産業用システムの設計と導入を簡略化

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、よりスマートなエネルギーの消費や管理を加速させるモジュール型の新しい電力線通信(PLC)チップセットを発表しました。このチップセットにより、電力・水道・ガスメータ、スマートグリッド・ノード、スマート街路灯、住宅・産業用制御システムを開発するメーカーは、より柔軟な製品開発が可能となります。世界的なスマート・メータ・メーカー3社が、すでにこの新しいプラットフォームに基づくソリューションを開発しています。

ターンキー・ソリューションであるこのチップセットは、プロトコル処理機能を統合しており、データのパッケージ化と変換に対応しているため、電力線からの信号の送受信が可能です。これにより、電力線通信を新しい設計の一部、または旧式の機器に追加するモジュールの中核的な機能として、低コストで実装することができます。また、このソリューションは、特定の規制への準拠が求められる市場に最適です。そのような場合には、STのPLCチップセットは外付けの通信モジュールとして、既存または新規の計測機器や制御機器のインタフェースになります。さらに、プログラミングの柔軟性により、さまざまな製品で共通のハードウェア基盤を利用できるとともに、ソフトウェアの自動更新に対応しているため、利用コストをさらに低減できます。

STのインダストリアル & パワー・コンバージョン事業部ジェネラル・マネージャであるDomenico Arrigoは、次のようにコメントしています。「STは、第1世代のデジタル・メータ導入時からスマート・メータの主要メーカーにチップセットを提供しており、ヨーロッパ、中国および南北アメリカにおいて6000万個以上のチップセットを住宅やビルに導入してきました。世界中の次世代メータやIoT機器には、この第一世代で得られた知見をもとにした新しい設計要件が求められています。このような要件を満たす最適解として、当社のチップセットは、柔軟でコスト・パフォーマンスに優れたPLC通信ソリューションであるとともに、非常に高いプログラミング性を備え、さまざまなPLC規格をサポートすることで、よりシンプルなグローバル展開を可能にします。」

調査会社であるIHS Markit(1) 社によると、現在、年間1億台以上のスマート・メータが出荷されており、この市場は今後2021年まで8%以上の成長が続くと予測されています。

技術情報

このチップセットは、プログラム可能なPLCエンジンであるST8500とライン・ドライバであるSTLD1の2つのチップで構成されています。 ST8500は、プロトコルのリアルタイム処理が可能な高性能クアッドコアDSPと、上位層プロトコルの処理およびシステム制御を担うARM(r) Cortex(r)-M4Fプロセッサを搭載したシステム・オン・チップ(SoC)です。どちらにも、コードおよびデータ保存用のSRAMが内蔵されているとともに、AES暗号化エンジンなどのスマート・エネルギー・アプリケーション向けの専用ペリフェラルが実装されています。また、STLD1ライン・ドライバに接続するためのアナログ・フロントエンド(AFE)も内蔵されています。

消費電力が受信モードで100mW未満であるST8500は、最新規格に対応する超低消費電力性能を実現しており、新しいスマート・メータによるグリッドへの負荷を最小限に抑えます。STLD1ライン・ドライバは、低インピーダンス、高いドライバ性能、そしてシングル・エンドで18V、差動モードで36Vという広範な出力範囲にわたる高い線形性を持ち、ノイズの多いケーブルでも信頼性の高い通信を実現します。

このチップセットは、G3-PLCとPRIME電力線プロトコル・スタックの認証を取得済みで、CENELEC、FCC、およびARIBの周波数帯で規格に準拠しています。

このPLCチップセットは、現在量産中です。ST8500はQFN56パッケージ(7 x 7 x 1mm)、STLD1はQFN24パッケージ(4 x 4 x 1mm)で提供されます。価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまでお問い合わせください。